不当解雇の弁護士コラム

リストラされた(される)ときに知っておきたい整理解雇の4要件とは

2020年01月15日
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リストラされた(される)ときに知っておきたい整理解雇の4要件とは

人手不足の影響から転職市場は売り手市場といわれる一方で、令和元年11月には大手造船会社が千人規模のリストラを検討していると報道がありました。

突然のリストラ宣告は、会社員ならひとごとではない問題でしょう。もしも自分がリストラされたらどうするべきなのでしょうか。そのリストラは本当に正しい方法で行われているのでしょうか。

この記事ではリストラ(整理解雇)をテーマに、解雇の要件やリストラされた場合にとるべき対応、弁護士に相談するメリットについて解説します。

1、リストラとは?解雇との違いや種類

そもそもリストラとは何か、解雇とは何が違うのかについて解説します。

  1. (1)そもそも、リストラとは?

    リストラとは「リストラクチャリング」の略称で、本来は事業の再構築を指す言葉です。成長分野への集中投資、事業の再編成、人材育成の強化、人事異動、一時休業など、会社の成長を効率よく維持するための幅広い活動を含みます。

    会社が、早期退職者を募集することや退職勧奨をすることなど、労働者による自主的な退職を促す行為も、人員整理の一環として行われることがあり、これもリストラのひとつです。

    つまり、リストラとは、会社側からみた事業活動の1つであり、本来の意味からすれば「リストラ=解雇」ではありません。

  2. (2)解雇とは?解雇の種類を知ろう

    解雇とは会社からの一方的な労働契約の解約をいいます。
    一方的といっても、会社がどのような場合でも簡単に解雇できるのではなく、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、解雇は無効とされます。
    この意味で、広義のリストラとは異なり、解雇には厳しい制限があるのです。

    解雇には主に、普通解雇、整理解雇、懲戒解雇の3種類があります。

    ①普通解雇
    勤務態度の不良や労働適正の欠如などを理由とした解雇です。
    何十回と注意しても遅刻をしてくる、無断欠勤を繰り返し、注意をしても改善しないといった場合などが典型的です。
    多くの会社では解雇の理由となる事由を就業規則で定めています。

    ②整理解雇
    会社が倒産を避ける等、経営上やむを得ず従業員数を削減するために労働者を解雇することをいいます。
    「会社側の都合による解雇」である点が、前述した普通解雇と異なります。

    昨今では整理解雇を指しリストラと呼ぶケースが多くなっていますので、次項からは特に断らない限り「リストラ=整理解雇」として解説します。

    ③懲戒解雇
    会社秩序を著しく乱す行為をした者に対する、制裁罰としての解雇です。
    たとえば業務上会社の財産を横領した、ライバル会社に重大な機密情報を漏らした、といった場合になされる解雇をいいます。

2、そのリストラは正当?リストラ(整理解雇)に必要な4要件

リストラ(整理解雇)が正当かどうかの判断には、以下の4要件を確認する必要があります。

  1. (1)人員整理の必要性があるのか

    解雇は労働者から生活の糧を奪う行為ですので、相応の理由がなければ許されません。

    整理解雇については、経営上、本当に人員を整理する必要があるのかが問われます。
    人員削減の必要性の程度については、実務上判断が分かれており、明確な基準があるとはいえません。

    実務上、整理解雇しなければ近い将来に会社の倒産が予見される、解雇以外にもはや経営を立て直す方法がないなど、客観的に見て経営危機に陥っている状況が求められた例もあります。
    また、一方で、客観的な経営危機までは必要とせず、会社の合理的運営上の必要があれば足りるとする例もあります。

  2. (2)会社は解雇を回避する努力をしたのか

    事業の再構築を図るには、役員報酬を削る、新規採用を見送る、残業を減らすなどさまざまな対処法があります。退職金を増額することで早期退職者を募るのもひとつの方法でしょう。
    整理解雇はいわば最後の手段ですので、その前段階として解雇しなくて済む対策を講じたのかどうかが問題となります。

  3. (3)人選に合理性があるのか

    誰を整理解雇の対象とするのか、選定のための基準と実際の選定には合理性が必要です。

    選定のための基準は、具体的にいうと、客観的な基準を事前に設定するなど、事前に優先順位をつけていれば合理性が肯定されやすいでしょう。
    反対に、経営者や人事部長の好き嫌いによって選定されていれば、合理性はないということです。

    合理性の判断材料としては、勤務成績、年齢が一応の基準となります。
    たとえば、過去の懲戒処分回数や欠勤率、勤務成績や再建に向けて期待される寄与の度合いなどが考えられます。あるいは解雇がおよぼす生活への影響として、扶養家族の有無、雇用形態(正社員、パートなど)なども材料となり得るでしょう。

    また、実際の選定にあたっては、事前に定めた基準をきちんと適用する必要があります。

  4. (4)手続きは正しく行われたか

    ある日突然、いきなり整理解雇を告げられるというのでは、正しい手順でリストラが実施されたとはいえません。
    整理解雇の必要性や具体的な実施方法などについて、会社が事前に説明や労働者との協議を尽くしたといえることが必要です。

    上記4要件を満たさない場合は解雇が無効とされる可能性があります。
    ただし、あくまでも個別の事情によって変動するほか、近年では上記の4要件を要素(ポイント)ととらえて判断される傾向もありますので、有効性の判断が難しいケースも多いでしょう。

3、リストラ(整理解雇)をされた場合の対処法

リストラ(整理解雇)をされた場合や退職勧奨をされた場合にとるべき行動は、「拒む」「受け入れる」の2つのパターンが考えられます。
※本項では、「リストラ」という言葉を退職勧奨等を含む広義のリストラの意で用いることがあります。

リストラを拒む場合は、退職勧奨段階であればそれを拒否し、整理解雇に至ってしまった場合には不当解雇だと主張します。

  1. (1)退職勧奨をされた場合

    人員削減の必要性を理由に退職勧奨をされたら、それを受け入れるか拒否するか判断するためにも、まずは会社の経営状況、解雇を回避する施策としてどのような手段をとったのか、なぜ自身が退職勧奨の対象になったのか、退職する場合の条件はどのようなものかを確認するようにしましょう。

    会社の説明や退職の条件が納得のいくものでなかった場合には、この段階で弁護士に相談することをおすすめします。

    リストラ(退職勧奨)に応じないと決めたら、応じない旨を会社に伝えます。
    会社としては、他の従業員に対して退職勧奨をするか、整理解雇をするのか決断することになるでしょう。

    次に、整理解雇をされてしまった場合の対処について、以下でご説明します。

  2. (2)リストラをされたが、拒否する場合

    ①解雇理由証明書等の交付を求める
    まずは解雇理由証明書解雇予告通知書の交付を求めましょう。
    解雇理由証明書は、解雇の理由や経緯などを示した証明書で、労働者が請求した場合に使用者が必ず交付する義務のあるものです(労働基準法第22条1項)。
    また、労働者は、退職前でも、解雇予告を受けていれば、使用者に対し、解雇予告通知書の交付を請求でき、使用者は交付する義務を負います(同条2項)。

    次に、30日以上前までの解雇予告、もしくは解雇予告手当(30日分以上の平均賃金)の支払いがあるかを確認します(同法第20条)。

    ②解雇の撤回を求める
    前述の4要件を満たしていない場合は不当解雇の可能性があります。
    会社に解雇の撤回を求めましょう。

    この時、退職届を提出すると退職を認めた証拠として扱われてしまうので、会社から提出を促されても応じないようにしましょう。

    ただし、解雇の撤回を求めたからと言って、必ずしも会社が撤回に応じるとは限りません。
    個別の事情を考慮しながら、会社側と交渉をしたり、場合によっては労働審判や訴訟の対応を取る必要がありますので、弁護士や労働組合へ相談するのが賢明です。

    争った結果、退職を受け入れる代わりに和解金や解決金を貰って退職するなど、金銭的解決に至ることも多々あります。

  3. (3)リストラを受け入れる場合

    ①リストラを受け入れるかの判断は慎重に
    前述のとおり、会社の言い分などをきちんと確認した結果、リストラ(退職勧奨)に応じる方針をとることも十分にあり得ます。

    リストラを受け入れることは、必ずしも悪いことではありません。
    リストラの実施はすなわち会社の経営状態が悪化していることを意味するため、このタイミングで会社に見切りをつけ転職すれば、キャリアアップや好条件の環境で働ける可能性もあるでしょう。

    しかし転職が決まるまでの当面の生活費の心配、気持ちの面など複雑な問題があるため、判断は人によっても異なりますし、安易には決断するのは難しいものです。

    特に、子供が小さく妻もまだ十分に働けないなど一家の大黒柱として働いている方は、リストラを受け入れるべきか、ご家族とも話し合い慎重に判断されるのがよいでしょう。

    ②退職条件・退職金の交渉
    リストラを受け入れるのであれば、あなたは会社に対し、強気に交渉できる立場にあります。リストラは、「会社の都合」によるものですので、通常の退職と比較して退職金が増額される傾向にあります。

    ですが、会社側から提示された退職条件や退職金が納得いかないのであれば、会社に対し、次の職を見つけるまでに安心して生活できるだけの十分な保証をしてもらえるよう交渉すべきです。
    失業保険(基本手当)についても、退職理由が解雇であれば給付日数、給付開始日ともに自己都合退職より優遇されるため、時間をかけて転職活動することもできます。

    「辞めてあげる」代わりに、納得のいく処遇を確保してから辞めましょう。

4、不当なリストラを弁護士に相談するメリット

  1. (1)法的観点から解雇の正当性を判断してくれる

    リストラを言い渡されたら、解雇理由証明書の請求や退職届を提出しないといったことは単独でもできますが、解雇の撤回を求めることや賠償金の請求までは難しいことも多いでしょう。

    個人で組織を相手にしても話し合いに応じてもらえず、また思うような結果にならないことも考えられます。さらに、交渉時の言動が解雇を認めるものであると判断されるリスクもあるため、早期に弁護士まで相談されたほうがよいでしょう。

    弁護士のサポートを受ければ、解雇の撤回や未払いの残業代請求、不当解雇による慰謝料請求といったさまざまな対応が可能となります。

    弁護士と聞くと「いきなり裁判を起こすのか」「できるだけ穏便に済ませたいのに」と不安になるかもしれません。
    しかし、弁護士はまずは相談者の言い分や希望を聞き、解雇が不当かどうかの判断をします。

    整理解雇の4要件は個別の事情によって判断が異なるため、ご自身の場合に要件を満たしているのか否かの確認は難しいものです。
    たとえば中小企業の場合は、大企業と比較して経営体力が低く、一時休業や配置転換などの解雇以外にとれる方法が限られるという問題があり、緩い基準で解雇が認められてしまうケースがあります。

    こうした個々の事情によって異なる解雇の正当性についても、弁護士が法的観点から見通しを立てるため、今後どうするべきかの判断に役立つでしょう。

  2. (2)会社が話し合いに応じてくれやすくなり、早期解決が見込める

    検証した結果として解雇が不当と疑われる場合も、依頼者の意向に沿って手続きを進めます。一般的には、任意の交渉を行い、どうしても解決しない場合に裁判等の法的手続きをとるという手順を踏むことが多いでしょう。

    実際、弁護士が代理人として介入すると会社が話し合いに応じてくれやすくなり、労働審判や裁判に発展せず、和解できるケースが多々あります。
    早期解決の可能性も高くなり、ご自身は心身の負担が軽減されるため、早い段階で弁護士に相談するメリットは大きいでしょう。

5、まとめ

通常、会社がリストラを検討する場合、まずは早期退職者の募集や退職勧奨などを行うケースが多いでしょう。整理解雇には厳しい要件があるため、そう簡単に実施できないはずです。
しかし、こうした要件を知らず、中にはいきなり整理解雇の実施に踏み切り、要件を満たさず不当に解雇を言い渡す会社もあります。

リストラの名目で不当に解雇された場合はおひとりで悩まず、まずは弁護士へ相談しましょう。
ベリーベスト法律事務所では、解雇の要件を満たしているのか、今後どのような対策をとれるのかのアドバイスを行います。
不当解雇の場合には解雇の撤回要求や慰謝料請求などの法的手続きも可能ですので、まずはお気軽に弁護士までご相談ください。

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