不当解雇の弁護士コラム

非正規社員のコロナ解雇!その時、非正規社員にできることとは?

2021年01月06日
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非正規社員のコロナ解雇!その時、非正規社員にできることとは?

厚生労働省が公開しているデータによれば、新型コロナウイルス感染症の影響で解雇などが見込まれる非正規社員は3万6266人(令和2年5月25日~12月4日までの累積値)と、多くの非正規社員が厳しい状況におかれていることが分かります。

しかし、非正規社員であっても、正当な理由もなく解雇されるのは許されないことであり、解雇の有効性は厳格に判断されます。

本コラムでは、解雇されそうな状況にある非正規社員の方に向けて、解雇が法律でどのように扱われているのか、解雇の撤回を求める場合や不当解雇を主張する場合に何ができるのかを解説します。

目次

  1. 1、非正規でも、正当な理由がない解雇は認められない
    1. (1)整理解雇とは?
    2. (2)整理解雇時のルール
  2. 2、雇止めや契約期間中の解雇の場合
    1. (1)期間満了による契約打ち切りは、解雇ではない
    2. (2)雇止めが無効になる可能性があるケース
    3. (3)契約の途中に辞めるように言われたら「解雇」
  3. 3、派遣契約の打ち切りの場合
    1. (1)派遣元に対応を求めることができる
    2. (2)やむをえない休業や、派遣元から契約を打ち切られた場合はどうなる?
  4. 4、解雇予告手当金も支給対象
    1. (1)解雇予告手当は、非正規社員であっても原則として支給される
    2. (2)解雇予告手当の対象外となるケース
  5. 5、納得いかない! 解雇を言い渡された場合、撤回を求めることはできるの?
    1. (1)解雇理由証明書を請求する
    2. (2)不当解雇の証拠を集める
    3. (3)法的手続を検討する
  6. 6、労働審判や訴訟について解説
    1. (1)労働審判は、どんな手続き?
    2. (2)労働審判の流れ
    3. (3)労働審判で解決に至らない場合は、訴訟へ移行
  7. 7、非正規社員の解雇について弁護士に相談するべき理由
    1. (1)不当解雇などに該当するかの判断ができる
    2. (2)解雇の撤回に向けた交渉を依頼できる
    3. (3)法的手続を迅速・正確に実施できる
    4. (4)場合によっては慰謝料の請求も
  8. 8、まとめ

1、非正規でも、正当な理由がない解雇は認められない

  1. (1)整理解雇とは?

    解雇とは、会社が労働者との労働契約を一方的に解除することをいいます。
    労働契約法第16条は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」としており、正当な理由のない解雇は認められません。

    また、会社が正当な理由があって解雇する場合でも、労働基準法第20条にもとづき、30日前までの解雇予告が必要とされています。

  2. (2)整理解雇時のルール

    解雇の中でも、経営悪化にともなう人員整理などのための解雇を「整理解雇」といいます。
    いわゆる「リストラ」やコロナ禍での経営悪化を理由とした解雇も整理解雇にあたります。

    労働者側に責任のない解雇であるため、解雇の有効性は以下の4要件(要素)をもとに、厳格に判断されます。

    解雇の4要件
    • 人員整理の必要性があるのか
    • 会社が解雇を回避するための努力を尽くしたか
    • 解雇される労働者の選定に合理性があるのか
    • 労働者や労働組合への十分な説明・協議が果たされたか


    たとえば、コロナ禍で経営が悪化していたとしても、解雇によって人件費を抑えなければ会社に深刻な影響が出るとまではいえない場合の解雇や、経営体制を見直したり役員報酬をカットしたりせずに、いきなり解雇に踏み切ったような場合の解雇については、違法な整理解雇とされる可能性が十分にあるでしょう。

2、雇止めや契約期間中の解雇の場合

  1. (1)期間満了による契約打ち切りは、解雇ではない

    雇止めとは、有期労働契約の期間満了にともない、契約を更新せずに打ち切ることをいい、厳密には解雇ではありません。
    契約期間の途中ではなく、期間が満了する際に契約が終わるのですから、原則として違法ではありません。

  2. (2)雇止めが無効になる可能性があるケース

    ただし、次のような状況がある場合については、労働契約法第19条の雇止め法理が適用され、整理解雇の4要件(要素)をもとに、雇止めが無効になる可能性があります。

    雇止めが無効となる可能性があるケースの一例
    • 過去に何度も更新があり、実質上は無期労働契約と同じ状態にあった
    • 人事部や上司などから更新を期待させるような言動があった など
  3. (3)契約の途中に辞めるように言われたら「解雇」

    また契約期間の途中に辞めるように言われた場合は、雇止めではなく解雇です。
    有期労働契約の途中の解雇は、無期労働契約の解雇よりも厳格に判断されます。整理解雇の4要件(要素)に照らして、やむを得ない理由がなければ、不当解雇に該当するといえるでしょう(労働契約法第17条1項)。

3、派遣契約の打ち切りの場合

  1. (1)派遣元に対応を求めることができる

    派遣社員は、正社員や契約社員のように勤務先と雇用主が同一ではなく、派遣元に雇用されながら派遣先で勤務する、という働き方をします。
    したがって、派遣社員は、雇用主である派遣元との法律関係を検討することになります。

    たとえば、派遣元と派遣先の派遣契約が打ち切られた結果、派遣先で働けなくなってしまった場合、派遣元に対して次の対応を求めることが可能です。


    • 別の就労先を紹介してもらう
    • 契約期間満了までの賃金を全額支払ってもらう
  2. (2)やむをえない休業や、派遣元から契約を打ち切られた場合はどうなる?

    ①やむをえない休業の場合
    ただし、休業手当(平均賃金の6割以上)の支払いでよいとする見解もあります。
    コロナ禍でのやむを得ない休業と評価できる場合には、休業手当の支払いしか求めることができない可能性は高いでしょう。

    ②派遣元から契約を打ち切られた場合
    また、派遣元から契約を打ち切られた場合は、雇止めまたは解雇にあたり、契約社員などと同じく違法となるケースがあります。

4、解雇予告手当金も支給対象

  1. (1)解雇予告手当は、非正規社員であっても原則として支給される

    解雇予告手当とは、会社が30日前までの解雇予告をしない場合に支払いが義務付けられている、30日分以上の平均賃金のことです(労働基準法第20条1項)。

    非正規社員であっても、契約期間の途中で解雇される場合は、正社員などと同様に解雇予告手当が支給されます。

  2. (2)解雇予告手当の対象外となるケース

    ①対象外となる条件
    ただし、以下のような場合などは対象外です(労働基準法第21条2号、3号など)。


    • 契約期間が2か月以内の場合
    • 契約期間が4か月以内の季節的業務に従事している場合


    また、契約期間満了で契約を終了する場合には、雇止めであって解雇ではないので、この場合、解雇予告や解雇予告手当の対象とはなりません。

    ②解雇予告は必要だが、解雇予告手当は不要なケース
    もっとも、


    • 有期労働契約が3回以上更新されている場合
    • 最初の雇用から1年を超えて継続勤務している場合


    には、厚生労働省告示により、契約の期間が満了する30日前までの予告が必要とされています(解雇予告手当は不要)。

5、納得いかない! 解雇を言い渡された場合、撤回を求めることはできるの?

「非正規だから簡単に解雇できる」と考えている経営者も世の中にはいますが、決してそのようなことはありません。

特に、契約期間中の解雇であれば、無期雇用の正社員などよりも厳格に判断されるため、不当解雇である可能性は高いと考えられるでしょう。

しかし仮に不当解雇であっても、何の行動も起こさなければ退職に追い込まれてしまうため、退職の意思がないことを早期に明確に伝えなければなりません。

そして、不当解雇である場合は、その撤回を要求することができます。
以下で流れを確認しましょう。

  1. (1)解雇理由証明書を請求する

    解雇理由証明書とは、解雇の理由が記載された書面のことです。
    証明書の請求は労働基準法第22条に基づく労働者の権利ですので、まずは会社側に発行を求め、解雇の理由を確認しましょう。

  2. (2)不当解雇の証拠を集める

    口頭で「不当解雇だ」と主張しても、会社側は言い逃れをする可能性もありますし、後に法的措置に出る場合でも、不当解雇の証明は必要になります。
    そのため、不当な解雇であることを立証するための証拠は不可欠です。

    雇用契約書や解雇通知書、会社と解雇についてやり取りをしたメール、解雇を言い渡してきた代表者や人事部の社員などとの会話の録音データなどは重要な証拠となり得ます。

  3. (3)法的手続を検討する

    まずは任意での話し合いによって解雇の撤回を求める方法がありますが、会社が話し合いに応じないケースも多々あります。
    その場合は、裁判所へ労働審判を申し立てたり、場合によってはいきなり訴訟を提起したりしてトラブルの解決を目指します。

6、労働審判や訴訟について解説

  1. (1)労働審判は、どんな手続き?

    労働審判とは、裁判官1名と労働関係の有識者である労働審判員2名で組織された労働審判委員会が調停や審判をおこない、労働トラブルを解決に導く手続をいいます。
    裁判所における公式な話し合いの機会で、訴訟よりは柔軟な話し合いができる場であるとイメージすると良いと思います。

    原則3回以内で審理するため、通常の裁判よりも迅速な解決が期待できるのが大きな特徴です。

    不当解雇や雇止め、賃金の未払いなど、会社と個々の労働者との間で発生した労働者の権利・利益に関するトラブルが対象となります。

  2. (2)労働審判の流れ

    労働審判の流れは次のとおりです。


    • 不当解雇の証拠を集める
    • 労働審判申立書を作成する
    • 地方裁判所に対し労働審判を申し立てる(申立書や証拠書類の写しなどを提出)
    • 審理が行われる(申し立てから40日以内に1回目の審理)
    • 話し合いがまとまることによる調停の成立
    • 合意に至らない場合は、裁判官からの解決案の提示
  3. (3)労働審判で解決に至らない場合は、訴訟へ移行

    労働審判の結果(裁判官から提示された解決案)に異議がある場合は、審判の告知から確定までの2週間以内に異議申し立てをおこないます。
    異議が適法に出されると労働審判は失効し、通常の訴訟手続へと移行します。

    訴訟では、会社側と労働者側が自らの見解を主張し合い、最終的に裁判官が、解雇が無効であるかどうかなどを判決によって決めることになります。

    労働審判で使用した証拠などはそのまま裁判へ引き継がれるため、最初から裁判を利用する場合よりは時間が短縮されます。
    ただし、労働審判と比べて結果が出るまでに長い期間を要するでしょう。

7、非正規社員の解雇について弁護士に相談するべき理由

非正規社員の方が解雇されてしまったら、弁護士へ相談しましょう。
弁護士は次のようなサポートができます。

  1. (1)不当解雇などに該当するかの判断ができる

    非正規社員が解雇などのトラブルに巻き込まれた場合、不当解雇なのか不当な雇止めなのか、労働契約や勤務の状況などから判断する必要があり、正規社員のケースと比べても高度な法的知識が求められることも少なくありません。

    弁護士に相談すれば不当解雇かどうかなどを法的観点から判断してもらえるため、今後何をするべきかの方向性が見えてくるでしょう。

  2. (2)解雇の撤回に向けた交渉を依頼できる

    労働トラブルは、会社との任意の交渉により解決できるのが望ましいですが、労働者個人が会社に交渉を持ちかけても、対応してもらえないケースが多数です。

    しかし弁護士が代理で交渉すれば、会社側は重要な労働トラブルだと認識し、誠実な対応に転じる可能性が高まります。

  3. (3)法的手続を迅速・正確に実施できる

    労働審判は3回以内の期日で審理するため、迅速な解決を期待できますが、逆にいうと「短期間で的確な主張・立証をしなければならない」という側面があります。

    また、裁判をするとなれば、裁判官に解雇無効の判決などを出してもらうため、様々な情報や証拠に基づいて、適切な主張・立証活動を行わなければなりません。

    これを一般の方がおこなうのは難しいため、弁護士のサポートを得るのが賢明です。
    手続の負担が軽減されるだけでなく、早期解決にもつながりやすいでしょう。

  4. (4)場合によっては慰謝料の請求も

    不当解雇の違法性が著しい場合には、会社に対し、精神的苦痛に対する慰謝料を請求できる可能性があります。

    ただし、不当解雇だからといって、必ず慰謝料が請求できるわけではなく、証拠を収集し、その証拠を基に、解雇の違法性を立証しなくてはなりません。

    これらの対応は一般の方にはハードルが高く、弁護士の力が不可欠です。
    できるだけ早めに弁護士へ相談するのがよいでしょう。

8、まとめ

非正規社員だから会社が簡単に解雇できるというルールはなく、それはコロナ禍であっても変わりません。とはいえ、非正規社員の労働契約は正社員などとは異なるため、解雇トラブルの解決には高度な法的知識が必要です。
弁護士のサポートを受けて解決を目指すのがよいでしょう。

非正規社員の雇用トラブルについては、労働問題の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所が力になります。まずはご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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