不当解雇の弁護士コラム

飲食業でコロナ解雇された! 不当解雇・給与未払いへの対策は?

2021年11月04日
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飲食業でコロナ解雇された! 不当解雇・給与未払いへの対策は?

新型コロナウイルス感染拡大による雇用への影響が深刻化しています。特に、政府や自治体による休業や時短営業の要請が続く飲食業では、雇用の維持が難しく、解雇や賃金の未払いなど、従業員が影響を受けているのが現状です。

しかし、新型コロナの影響で経営難に陥っても、会社(店舗)は従業員を無条件で解雇できるわけではありません。また仮に解雇が認められる場合でも、働いた分の賃金が未払いのままで許されるわけでもありません。

本コラムでは、コロナ禍で飲食店を解雇されてしまった方に向けて、金銭面での不利益を受けないためにできる4つの対策を解説します。新型コロナ関連の不当解雇が認められた事例も確認しましょう。

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1、コロナ禍における雇用と飲食業界の現状

厚生労働省では、新型コロナウイルス感染症の影響による「雇用調整の可能性がある事業所数」と「解雇等見込み労働者数」のタイムリーな動向を集計し、公表しています。

令和3年10月15日時点までの累積値では、「雇用調整の可能性がある事業所数」は全体で13万4270事業所でした。飲食業は1万58270事業所と、製造業に次いで2番目に多い業種になります。

また、同日時点までの「解雇等見込み労働者数」の累積値では、全体11万8591人のうち製造業、小売業に次ぐ3番目に多い1万3709人となっています。
さらに、2021年10月8日から15日までの飲食業における解雇見込み労働者数は、正規社員6人・非正規社員12人でした。

正社員・非正規社員にかかわらず解雇・雇い止めされている方がいる現状が見てとれます。

なお、当データは労働局やハローワークが把握できた範囲内のものです。
すでに再就職した人も含まれている可能性がありますので、ご注意ください。

2、飲食店を解雇された従業員ができる“4つの対策”

新型コロナウイルス感染拡大の影響で飲食店を解雇されてしまった方は、以下4つの対策を検討する余地があります。

  1. (1)未払い給与や残業代の請求

    解雇される日までに働いた分の給与や残業代については、当然に請求できます。

    会社は従業員に対して賃金を必ず支払う義務があります(労働基準法第11条)。
    ここでいう賃金には、給与や残業代、賞与、退職金といった名称のいかんを問わず、労働の対償として支払われるものはすべて含まれます。
    会社は従業員を解雇したからといってこの義務から免れることはなく、解雇が有効か無効かどうかも関係ありません

    また、解雇が後に「無効である」と判断された場合は、解雇される日までに加えて解雇期間中の賃金も請求できます。

    未払いの給与や残業代を請求する場合は、雇用契約書、就業規則、タイムカードなどの証拠をそろえ、未払いとなっている賃金を計算したうえで会社に対して請求書を送付するのが基本的な流れです。

  2. (2)解雇予告手当の請求

    会社は従業員を解雇する際、少なくとも30日前に予告をするか、予告なしで即日解雇された場合は30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません(労働基準法第20条)。

    そのため、従業員が解雇の予告なしに解雇された場合は「解雇予告手当」を請求できます。また、解雇の予告があった場合でも、解雇までの期間が30日間に満たない場合には、その日数分の解雇予告手当の請求が可能です。

    請求の流れは以下の通りです。

    請求の流れ
    • ① 退職事由の証明書の発行を求めて解雇された事実を明確にする
    • ② 解雇予告手当の金額を算出
    • ③ 会社宛てに請求書を送付する

    会社から「請求書を受け取っていない」と反論されないように、日付、内容、相手に送付した事実などを郵便局が証明してくれる、配達証明付の内容証明郵便を利用するようにしましょう。

  3. (3)休業手当の請求

    新型コロナ感染拡大の影響により会社から休業命令を受けた時期や、店舗が休業になったため出勤できなかった時期があった場合は、労働基準法第26条にもとづく「休業手当」を請求できる可能性があります。

    休業手当とは、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に支払われる、平均賃金の6割以上にあたる手当のことです

    休業が不可抗力である場合は「使用者の責に帰すべき事由」にあたらないため会社に休業手当の支払い義務は生じませんが、新型コロナ感染拡大の影響による休業がただちに不可抗力だといえるわけではありません
    ほかの代替手段の可能性や会社による休業回避の努力の有無などを総合的に勘案して判断されます。

    なお、休業手当も給与や残業代と同じく賃金請求権の時効にかかるため、3年以内の請求が必要です。

  4. (4)未払賃金立替制度の活用

    会社の倒産などにより賃金が未払いのまま退職を余儀なくされた方は、未払賃金立替払制度を利用できる可能性があります。
    未払い賃金のうち8割(上限あり)について、独立行政法人労働者健康安全機構が従業員に立替払いし、本来の支払い責任者である会社に求償する制度です。

    対象となる賃金
    対象となる賃金は、退職日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来した「定期賃金」と「退職金」のうち未払いになっているものです。賞与は含みません。

    受けることができる人の条件
    立替払を受けることができるのは、裁判所への倒産手続開始の申立日または事実上の倒産認定申請日の「6か月前の日から2年の間」に退職した人です。

    このほかに会社側の要件もあります。
    制度の利用に際しては労働基準監督署へ相談してみましょう。

  5. (5)非正規雇用でも、4つの法的対策はできるのか?

    飲食業ではパートやアルバイトなどの非正規社員が多く活躍しています。
    前述したような法的対策は、非正規社員でも可能か気になるところです。

    結論からいうと、会社と雇用関係にある限り、アルバイトや契約社員、派遣社員などの非正規社員であっても労働基準法の労働者にあたるため、上記4つの対策を利用できます

    解雇予告手当が適用されない労働者
    もっとも、解雇予告手当については労働基準法第21条各号で適用除外となる者が定められているため、短期の雇用契約を結んでいる方などはご注意ください。

    • 日雇いの労働者
      日雇いであっても1か月以上継続して働く場合は、解雇予告制度が適用されます。
    • 試用期間中である労働者
      試用期間中の労働者が14日を超えて使用されている場合にも、解雇予告制度が適用されます。
    • 2か月以内の期間を定めて使用される労働者
    • 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される労働者

    請求関連の判断で悩んだら、まずは弁護士に相談してみましょう。

3、整理解雇をするために必要な4つの要件

新型コロナウイルス感染拡大の影響で経営が悪化したことを理由に解雇された場合、当該解雇が不当であるかどうかを判断するには、整理解雇における4つの要件を満たしているかが重要となります。

整理解雇とは、会社の業績悪化などによる人員整理で、経営を維持するためのいわゆるリストラの一環です。

しかし、業績不振であっても労働者を軽々に解雇することは許されません。
そのため、整理解雇には以下の4つの要件が必要となります。

  • ① 人員整理の必要性がある
    業績悪化により店舗が閉店に追い込まれた場合や、他店舗での雇用も困難である場合です。業績は悪化したが店舗経営は可能であれば人員整理の必要性は否定されるでしょう。
  • ② 解雇回避のための努力を尽くした
    解雇の前に雇用調整助成金を利用する、他店舗での勤務を提案するなど解雇を回避するための措置をしていなければ解雇は認められません
  • ③ 解雇対象者の選定基準が客観的・合理的である
    解雇対象者の選定にあたっては客観的・合理的な理由が必要です。必然的な理由もなく解雇対象者を選定することは認められません
  • ④ 手続きの相当性
    解雇の前に労働組合や従業員に対して経営状況を説明する、従業員の納得を得るために話し合いの場を設けるなどの手続きが必要です。

整理解雇の4要件を満たさず解雇された場合は不当解雇にあたるため、復職や就労できなかった期間の賃金を請求できる可能性があります。

4、新型コロナに関わる解雇が無効と判断された事例

飲食とは他業種になりますが、新型コロナに関連して解雇が無効と判断された事例を2つ紹介します。

  1. (1)事例1:宮城県のタクシー会社

    概要
    新型コロナの影響による業績悪化を理由に、宮城県仙台市のタクシー会社を解雇された有期のタクシー運転手4人が、会社側に地位確認や賃金の支払いを求めた事例です。

    裁判の結果
    仙台地裁は整理解雇の4つの要素を総合的に考慮して、4人の解雇を無効と判断しました。また、この事件では、解雇がなされなかったとしても休業は避けられなかったとして、休業手当のみを請求できると判断されています。

    解雇無効と判断された理由
    • 人員整理の必要性について、相応に緊急かつ高度であるとは認められるが、倒産が必至であるほど緊急かつ高度とは認められない
    • 雇用調整助成金の利用などの解雇回避努力が行われていない
    • 人員選択の基準を疎明できていない
    • 運転手らに対する説明が不十分

    ただし、通常の訴訟ではなく、紛争解決までの生活を維持するための暫定的な裁判(保全事件)であったため、年金収入や貯蓄のあった1人の労働者への支払は命じなかったほか、他の3名についても、休業手当全額ではなく、生活に必要な一部の金額のみ、仮の支払を命じました(仙台地決令和2年8月21日・労判1236号63頁)。

  2. (2)事例2:福岡県のバス会社

    概要
    コロナ禍による経営難を理由として、福岡県の観光バス会社から整理解雇された運転手の男性が、バス会社に雇用関係の確認と未払い賃金の支払いを求めた事例です。

    裁判の結果
    福岡地裁は、人員整理の必要性は一応認められるとしたものの、その他の要件を満たしていないとして、解雇が無効であると判断しました。
    バス会社に対し、男性に休業手当相当額の仮の支払いを命じています(福岡地決令和3年3月9日・労判1244号31頁)。

    解雇が無効だと判断された理由
    • 希望退職者を募るという解雇回避努力が行われていない
    • 運転手が高速バス事業に手を上げなかったことをもって解雇対象者とするのは合理的でない
    • 削減人数や解雇対象者の基準が説明されず、解雇対象者からの意見聴取も行われていない

    不当な解雇かもしれないと感じたら、まずは弁護士に相談してみるのがおすすめです。

5、飲食業の不当解雇や未払い給与で困ったら弁護士へ相談を

飲食業で働いていた人が解雇された場合や未払いの給与・残業代がある場合などには、まずは、労働問題の解決実績がある弁護士へ相談してみましょう。

  1. (1)法的に的確な判断をしてもらえる

    新型コロナ感染拡大による解雇が不当であるかどうかは個別の状況によって異なるため、一般の方が簡単に判断できるものではありません。

    弁護士であれば法律の知識や裁判例と照らして解雇の正当性を争う余地があるかどうかを判断します。
    また、未払い給与や解雇予告手当、休業手当などの請求権があるか、金額はいくらになるのかなど、具体的な対策についても相談できます。

  2. (2)証拠集めや会社側と争う際にも、全てサポートしてくれる

    さらに、不当解雇や未払い給与などの問題で会社側と争う場合でも、弁護士に一任すれば有益な証拠の判断をはじめ、必要に応じて証拠開示請求をすることも可能です。

6、まとめ

新型コロナ感染拡大の影響により飲食業は厳しい経営を強いられていますが、解雇は従業員の生活の糧を奪う行為であるため無条件で認められるわけではありません
また、未払い賃金や解雇予告手当などが請求できる可能性もあります。

ベリーベスト法律事務所は、不当解雇のみのご相談は初回60分無料、残業代請求とあわせてご相談の場合は、ご来所による弁護士相談が何度でも無料です。

労働問題の解決実績が豊富な当事務所へ、まずはお気軽にお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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