不当解雇の弁護士コラム

会社をクビにされそう?!不当解雇される前に従業員ができること

2021年10月25日
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会社をクビにされそう?!不当解雇される前に従業員ができること

長引く不景気や経営上のトラブルなどを理由に業績が悪化したために、解雇や退職勧奨、希望退職者募集などさまざまな形での雇用調整に取り組む企業が増加しているようです。しかし、会社が解雇を行うにあたっては労働基準法などによる制限があります。

解雇を言い渡されたときは、まずは返事を保留したうえで、解雇理由を確認してください。なぜなら、会社は業績悪化や本人の勤務態度の不良、能力不足などを理由に、簡単に従業員をクビにすることはできないからです。

解雇や退職勧奨で悩んでいる方のために、解雇の種類と不当解雇の具体例、会社からクビにされそうなときの対応方法などについて、弁護士がわかりやすく解説します。

1、解雇の種類と、会社が従業員をクビにするとき満たすべき条件

  1. (1)解雇には3つの種類がある

    「解雇」とは、「使用者(会社や事業主など従業員を雇った者)からの一方的な労働契約の解除」のことです。
    解雇には、次の3つの種類があります。

    ① 普通解雇
    普通解雇とは、従業員の能力不足や勤務態度の不良、病気やケガなどにより、労働契約の継続が困難であると判断される場合に行われる解雇のことです。

    ② 懲戒解雇
    懲戒解雇とは、従業員が社内秩序や法律に違反した場合に行われる解雇のことです。
    横領やセクハラ・パワハラ、会社の名誉や信用を大きく毀損するような刑事事件での逮捕・起訴などが懲戒事由となります。ただし、懲戒解雇するにあたっては、就業規則に懲戒事由が明記されていることが必要です。

    ③ 整理解雇
    整理解雇とは、業績悪化など主に会社側の事情で行われる解雇のことです。事業縮小による余剰人員の削減、人件費の削減を目的とする解雇などがあります。
  2. (2)法律や判例により、解雇にはさまざまな制限がかけられている

    会社からの一方的な意思表示によって行われる解雇は、従業員の生活に与える影響が大きいことから、労働基準法や労働契約法などの法律および判例によって、産前産後・業務災害の場合の解雇制限、解雇予告義務などさまざまな制限が設けられています。

    また、解雇の事由を含む退職に関する事項は、就業規則の絶対的記載事項(労働基準法第89条3号)であり、労働条件の絶対的明示事項(労働基準法第15条1項・同施行規則第5条1項4号)となっています。

  3. (3)従業員側に落ち度があっても、そう簡単に解雇はできない

    さらに、就業規則違反など従業員側に落ち度があったとしても、「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」がなければ、その解雇は「解雇権の濫用」とされて無効です(労働契約法第16条)。

    以上のとおり、会社側は容易に従業員を解雇することはできません
    解雇が無効とされた場合、会社との交渉や労働審判・裁判などによって、従業員は復職を求めることができます。

2、違法性が認められるのはどんなケース? 不当解雇にあたる理由の具体例

解雇の違法性が認められるのはどのようなケースなのでしょうか。
具体的な事例となぜ不当解雇にあたるのかを解説します。

  1. (1)勤務態度や能力不足を理由とした解雇

    勤務態度や能力不足を理由とした解雇は「普通解雇」となります。

    たとえば、

    • 遅刻が多い
    • 上司や同僚との言い争いが絶えない
    • 指示命令系統を無視する

    など、勤務態度が悪いという理由が考えられるでしょう。
    しかし、だからといって会社側が直ちに解雇を言い渡していいわけではありません

    会社側には、遅刻や口論の頻度・程度に応じて、従業員にどのように指導・注意を行ったかなどが問われます。
    解雇について争いになった場合、最終的には

    • 本人の反省度合い
    • 改善の見込みの有無
    • 過去の事例

    なども考慮されて解雇の有効性が判断されることになるのです。

    勤務態度が理由の場合
    たとえば、組織内での人間関係の調整や指導、配置転換などが行われないまま、協調性が欠如していることや上司とケンカしたことなどが理由で突然に解雇された場合には不当解雇と判断される可能性が高いでしょう。

    能力不足が理由の場合
    また、能力不足による解雇も、研修や指導、配置転換などを行っても能力向上が認められず、雇用関係を継続することができないほど重大な能力不足が理由でなければなりません

    • 営業目標を達成できなかった
    • 他の社員と比べて仕事が遅い

    などの理由による解雇は、不当解雇と判断されます。

  2. (2)リストラ回避の企業努力が十分でない

    整理解雇、いわゆるリストラを行うにあたっては、4つの要件を満たさなければなりません。

    整理解雇の4つの要件
    • 人員削減の必要性
    • 解雇回避努力義務の履行
    • 人選の合理性
    • (従業員へ十分な説明を行うなどの)手続の妥当性

    解雇を行う前に、役員報酬の削減、交際費などの経費削減、時間外労働の削減、賞与・手当の削減、希望退職者の募集、一時帰休の実施、雇用調整助成金の活用、配置転換など、リストラを回避するための経営努力を十分に行っていなかった場合には、不当解雇と判断される可能性が高いです。

    たとえば、人員整理のためという理由で解雇を命じられたにもかかわらず、会社が同一の業務で求人広告を出していた場合、解雇は無効となる可能性が高いでしょう。

3、解雇予告手当がなく、即クビにされそうになった場合

仮に解雇が可能であったとしても、労働基準法第20条1項は以下のように定めています。

労働基準法第20条1項
使用者は、解雇をしようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。

また、同条は、会社側が即日解雇を言い渡した場合、従業員に対して解雇予告手当として「30日分以上の平均賃金」を支払う必要があると定めています。

したがって、「明日から来なくていい」「クビにしたのだから今月分の給料は払わない」と言われたとしても、泣き寝入りする必要はありません

例外的に、過去予告が不要な場合もある
ただし、天変地異などやむを得ない理由によって事業を継続することが不可能である場合や、長期の無断欠勤など労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇される場合には、労働基準監督署から除外認定を受けることで、解雇予告は不要となります。

4、パワハラなどを受け、退職を強要されそうになった場合

「退職勧奨」とは、「会社を辞めてほしい」と会社から従業員に対して退職を促すことです。会社が退職を促すこと自体に法的強制力はないので、素直に応じる必要はありません

ただし、従業員を解雇するためには法律による厳しい制限があるため、退職勧奨を巧妙に利用して従業員を辞めさせようとするケースも存在します。

退職勧奨自体は違法ではないのですが、

  • 退職をしないという意思表示をしたのに何回も執拗に退職を迫る
  • 嫌がらせや罵倒、脅迫などのパワハラをする
  • 不当な配置転換をしたりする

など、不適切な退職勧奨を行うことは退職強要となります。

この場合には、不法行為(民法第709条)として損害賠償請求をすることが可能です。
また、悪質な場合には、強要罪(刑法第223条)に該当する可能性もあります。

5、不当な理由でクビにされそうなとき実践すべき、4つの対応方法

もし、会社を不当な理由でクビになりそうなときにできる4つの対応方法について解説します。

  1. (1)退職を明確に拒否する

    退職をしたくない場合には、会社から解雇を通知されたり、退職勧奨をされたりしても、解雇や退職に合意するという意思表示はしないでください。
    もし、一度でも合意した場合には、復職要求が困難となるからです。

    また、解雇予告手当や退職金を請求したり、有給買い取りの申請をしたりすることは、退職を認める行為とみなされるおそれがありますので注意してください。

    不当な退職勧奨を受けた場合には、不法行為として損害賠償請求をするために、録音やメール、文書などを証拠として保存しておきましょう。

  2. (2)解雇理由証明書を請求する

    解雇理由が正当であるかどうかを判断するために、解雇を告げられたら「解雇理由証明書」の交付を請求しましょう。労働基準法第22条の規定により、交付請求を受けた会社には、解雇理由証明書を交付する義務があります

    交付を拒否されたという事実は、労働審判や裁判で解雇無効について争ううえで、有利な事情となります。文書やメール、内容証明郵便で会社に対して請求を行えば、請求しても交付されなかったという証拠になるでしょう。

  3. (3)配置転換など「解雇を回避するための提案」には前向きに応じる

    会社側が解雇回避努力義務を履行するために、配置転換などを提案してくる場合がありますが、合理的な理由が存在する場合は前向きに応じましょう

    かたくなに拒否したり、非協力的な態度をとったりしていれば、「会社としては、配置転換などを提案したものの非協力的だったので、やむなく解雇した」と解雇が正当であることの主張を許してしまうおそれがあります。

  4. (4)労働組合や労働基準監督署へ相談する

    ① 労働組合
    会社に労働組合があれば、不当解雇や退職勧奨についての悩みを相談してみましょう。
    労働組合からの交渉は、会社は原則として拒否することができません

    ただし、会社が実権を握る「御用組合」で会社に対して強く主張できない場合もあり、労働組合が交渉しても思ったとおりの結果が得られるとは限りません

    ② 労働基準監督署
    労働組合への相談でも解決できない場合は労働基準監督署への相談も検討しましょう。
    労働基準監督署は、労働基準法や労働契約法などの労働に関する法律を使用者が遵守しているかどうかを調査し、違反していれば是正勧告などを行う行政機関です。
    解雇予告手当の不支給、労災や産休明けの解雇など、労働基準法違反となる解雇には対応することができます。

    ただし、解雇理由に「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」があるかどうかについて判断したり、会社と個別に交渉したりすることはできません。

6、執拗な退職勧奨などクビにされそうな状況に悩んだら、弁護士へ相談を

執拗な退職勧奨や不当解雇など会社にクビにされそうなときは、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は、労働者に対して次のようなサポートが可能です。

弁護士ができる主なサポート
  • 解雇が有効かどうか判断できる
  • 適切なアドバイスができる
  • 代理人として会社と交渉できる
  • 金銭的に有利な解決を図ることができる
  • 訴訟代理人になれる

弁護士は、労働基準監督と異なり代理人として会社と直接交渉することができます。法律に基づき、不当解雇であると判断される場合には、会社に対して復職要求ができます。

会社を辞めることになったとしても、解雇日から解決日までの賃金、未払い残業代、退職金の上乗せ、損害賠償などを請求することで、金銭的に有利な解決を図ることも可能です。

会社と和解できずに労働審判や裁判で争うことになっても、訴訟代理人として最後までサポートできるのは弁護士だけです。

退職勧奨や解雇に応じてしまうと、会社との交渉や労働審判・裁判において、復職要求が難しくなるので、退職勧奨や解雇に応じる前に弁護士に相談しましょう。

7、まとめ

解雇の種類や不当解雇の具体的な例、会社にクビにされそうなときの対応方法などについて解説しました。

解雇や退職勧奨をされることは、精神的にも経済的にもとてもつらいものです。
解雇や退職勧奨でお悩みの方は、おひとりで悩まずにベリーベスト法律事務所にご相談ください。

解雇の撤回や損害賠償請求など、早期解決に向けて労働問題の実績豊富な弁護士が全力を尽くします

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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