不当解雇の弁護士コラム

私は悔しい!派遣社員が違法な雇止めでできることとは?

2018年09月12日
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私は悔しい!派遣社員が違法な雇止めでできることとは?

長期間同じ派遣先で働き続けてきたにもかかわらず、あるとき突然派遣契約の終了によって雇止めとされてしまったら、納得できないのも当然です。派遣社員がこのような「雇止め」に遭ってしまったとき、どのような対応をとることができるのでしょうか?
今回は、派遣社員の雇止めにおける違法性や対策方法、適切な相談先など、派遣社員として働いている方が知っておきたい必要な知識について、弁護士が解説します。

1、雇止めとは?

そもそも雇止めとはどのようなことか、確認しましょう。
雇止めは、繰り返し契約を更新してきた有期契約の従業員の契約期間が切れたとき、企業側が契約更新をしないことです。
派遣社員の場合も労働期間は有期ですから雇止めに遭うケースが多々あります。
派遣社員に対する雇止めには、労働契約法労働者派遣法の2つの法律が関係します。

  1. (1)労働契約法の改正について

    まず、2013年に労働契約法が改正されて、同じ会社との間の有期雇用契約が通算して5年を超える有期雇用契約社員は、雇用者に対して無期雇用への転換(無期転換)を求めることが認められるようになりました。
    改正労働契約法は2013年4月1日から適用されているので、その5年後である2018年4月1日から、通算5年を超えた派遣社員が派遣元会社に対し、正社員として登用するよう申入れができるようになっています。

  2. (2)労働者派遣法の改正について

    また、2015年には労働者派遣法が改正され、同一の派遣先には3年を限度にしか派遣できないようになりました。その分、派遣会社には派遣社員の雇用安定化や、派遣先に対する直接雇用の申入れなどの措置が義務づけられています。
    改正労働者派遣法の適用開始は2015年9月30日なので、その3年後である2018年9月30日に初めて影響が出てくることになります。

    以上のように、派遣労働に関しては2018年に2つの法改正による影響が同時発現するので、「2018年問題」とも言われています。

2、雇止めは違法なの?

企業が派遣社員や契約社員などの有期契約労働者の契約更新を拒絶する行為は違法なのでしょうか?

  1. (1)雇止めの違法性判断基準

    雇止めは、違法になるケースと適法になるケースがあり、その基準については労働契約法19条によって明らかにされています。

    具体的には、有期雇用者の契約期間満了による雇止めは、以下のような場合で、雇止めとすることが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない場合に違法となります。

    無期契約型
    過去に繰り返し更新されてきた有期労働契約であり、雇止めが無期労働者を解雇するのと社会通念上同視できる場合

    有期契約の形態をとっているけれども、実質的には無期雇用と同じレベルに至っており、雇止めを解雇と同視できる場合には、雇止めが違法となります。

    期待保護型
    有期契約の従業員が、契約満了時にその有期契約が更新されると期待することに合理的な理由がある場合

    有期契約であっても、これまでの契約の更新回数や更新手続きの態様、これまでの他の有期契約従業員への取扱いなどの事情からすると、派遣労働者が契約更新への期待を持つのが当然である場合には、契約更新の拒絶が認められません。

    また、企業は有期契約社員を受け入れるときに、更新の有無や条件について明示しなければなりませんし、1年以上働いている派遣社員や3回以上更新している派遣社員には、雇止めの30日前までに予告をしなければなりません。労働者の求めに応じて雇止めの理由を説明すべき義務も負います。

  2. (2)雇止めが適法とされるケース

    以上を前提として、雇止めが適法なケースの例をご紹介します(個別の事情により異なる判断となる可能性があります)。

    • 派遣社員との初めての契約更新を拒否した
    • 派遣社員の勤務態度が極めて悪いので契約更新を拒否した
  3. (3)雇止めが違法とされるケース

    以下のようなケースでは、雇止めが違法となる可能性があります。

    • これまで何度も契約更新してきたのに、理由なく契約更新を拒絶した
    • 「正社員にしてあげる」などと期待させておいていきなり雇止めをした
    • 雇止めの予告をしていない

3、突然、雇止めの通知を受けたら確認すべき3つのポイント

派遣社員が突然の雇止めに遭ったら、以下のような点を確認しましょう。

  1. (1)契約書で確認すべきポイント

    まずは雇用契約書の内容を見返すことが大切です。
    雇止めに関して厚生労働省が発表している基準によると、有期雇用労働者を雇い入れるとき、会社側は、以下の内容を明示する必要があります。

    • 契約更新の有無
    • 契約更新をしない場合の判断基準

    また、これらについて変更がある場合、会社側は従業員に対し、変更点を速やかに明示すべき義務を負います。
    もしも雇止めが契約書の記載内容に反するものであれば、違法として争うことが可能です。

  2. (2)雇止めの予告

    次に、雇止めの予告について確認しましょう。
    企業は有期契約社員(有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている労働者に限ります)の雇止めをするとき、30日前に雇止めの予告をする必要があります。正規労働者の場合と異なり、解雇予告手当の支給によって30日間の期間を短くすることも認められていません。
    したがって、雇止め予告を受けていない場合、違法であるという主張が通りやすくなります。

  3. (3)雇止めの理由

    有期契約の労働者は雇止めに遭ったとき、会社側に対して理由の開示を要求できますし、開示された理由によっては「合理的でない」として、雇止めが違法であることを主張できる可能性があります。
    そこで、雇止めに納得できない場合には、速やかに派遣会社に対して雇止め理由証明書の交付を求め、内容が妥当かどうかを検討しましょう。

4、違法な雇止めに対して、派遣社員ができること

派遣社員が違法な雇止めに遭ったとき、どのような対応をとることができるのでしょうか?

  1. (1)会社に理由を聞く

    まずは雇止めの理由を明らかにすることが重要です。先に説明したように派遣会社は労働者の求めに応じて雇止めの理由を説明すべき義務を負うので、雇止め理由証明書の交付を受けましょう。

  2. (2)証拠を集める

    次に、雇止めが違法であることの証拠を集めることが重要です。
    たとえば以下のようなものが証拠になります。

    業務内容を証明する資料
    • 勤続年数やこれまでの契約更新回数を示す書面、契約書など
    • これまでの契約更新の手続き方法がわかる資料
    • 企業側から更新を期待させる発言があったことがわかる資料(メールや音声データなど)
    • 他の有期契約社員の雇止めについての状況がわかる記録など
    雇い止めに合理的な理由がないことを示す資料
    • 雇止めを言い渡されたときの資料(メールや書面など)
    • 雇止めの理由を聞いたときの回答内容(メールや書面、音声データなど)
    • 開示を求めた際に交付された雇止め理由証明書
  3. (3)労働審判

    証拠を揃えたら、労働審判によって雇止めの無効を主張しましょう。
    労働審判をすると、裁判所の労働審判委員会が労働者側と会社側の間に入り、調停によって両者の主張内容を調整してくれます。3回の調停でも合意に至らない場合には、労働審判委員会が妥当と考える解決方法を審判によって決定してくれます。
    労働者側が、雇止めの違法性を証明する資料を提出できていれば、主張が認められる可能性が高くなります。
    なお、労働審判をせずに訴訟をする場合もあります。これらの手続きにはメリットとデメリットがあるため、どちらの手続きが適切かは弁護士にご相談ください。

  4. (4)労働訴訟

    労働審判をしても、労働者側もしくは会社側のどちらかが審判結果に納得しなければ、最終的に労働訴訟によって解決する必要があります。
    訴訟でも、労働者側がきちんと法的な主張と立証をできたら雇止めの違法性を認めてもらえます。
    また、訴訟の結果下された判決に対しては、別機関に異議を申し出ることができないので、最終的な解決が可能です。

5、雇止めの相談先と各機関ができること

派遣社員が雇止めに遭ったとき、どのような場所で相談を受けられるのか、ご紹介します。

  1. (1)派遣会社のお客様相談センター

    まずは、勤務先の派遣会社のお客様相談センターで相談する方法が考えられます。
    ただし、相談先が紛争相手である派遣会社自身ですから、対立が激しい場合、解決は困難となるでしょう。

  2. (2)総合労働相談コーナー

    厚生労働省の総合労働相談コーナーを利用する方法もあります。ここでは雇止めを始めとして、解雇や配置転換、減給や嫌がらせ、パワハラなど各種の労働問題の相談ができます。
    対応してくれるのは専門の相談員であり、電話でも面談でも相談可能で、費用はかかりません。企業側と労働者側の調整が必要な場合、労働局でのあっせんを紹介してもらえることもあります。
    また、裁判所や都道府県労働委員会、法テラスなどの紛争解決機関についての情報提供も受けられます。

  3. (3)労働基準監督署

    労働基準監督署に相談をする方法もあります。雇止め予告が行われていないなど、手続き的な違反があれば、労基署が企業側に指導勧告をしてくれる可能性があります。
    ただ、労基署は雇止めの違法性についての判断は行っていないので、違法性を主張するならば別機関を利用する必要があります。

  4. (4)労働組合

    ユニオンなどの労働組合に相談するのも1つの方法です。ユニオンは、業種や地域などを単位とした労働組合であり、その範囲に含まれる労働者であれば誰でも加入できるので、雇用期間が限定されている派遣社員でも加入できます。
    労働組合に相談をすると、会社側に対して団体交渉を申し入れてくれるので、会社側の態度が変わったり有利な条件で和解をしたりすることができる可能性があります。

  5. (5)弁護士

    派遣社員などの有期雇用契約者が契約終了時に不当な雇止めに遭ったときには、弁護士に相談するのがもっとも効果的です。
    弁護士であれば、契約締結時に契約内容の明示がきちんと行われているかどうかや、雇止め予告が適切に行われているか、雇止めの理由が合理的かどうか、派遣社員とは言っても実質的には正規雇用者と同様の状態になっているのではないかなど、さまざまな法的観点から雇止めの適法性を正確に判断できるからです。
    弁護士に相談をすると、わからないことや不安なことについて、弁護士の回答をもらえますし、会社側との交渉や労働審判、労働訴訟などの手続きを依頼することも可能です。
    さらに弁護士は労働者派遣法や労働契約法などの法律知識も深いので、2018年問題にも適切に対応できます。
    雇止めに納得できないときには、まずは労働問題の経験豊富な弁護士に相談すると良いでしょう。

6、違法な雇止めと思ったら、まずは弁護士へご相談を

派遣社員は無期雇用契約の従業員と比べると、どうしても不利益を受けやすいです。同じ内容の仕事をしていても、正規雇用の従業員より給料などの労働条件が低いこともありますし、何かあったら雇止めをされてしまいます。
泣き寝入りしないためには法律の専門家である弁護士のサポートを受けることが重要です。
ベリーベスト法律事務所では、不当解雇・退職勧奨のご相談について、初回60分の法律相談料が無料です。
派遣社員の契約終了時における雇止めが不当ではないかと思われる場合、お早めに弁護士までご相談ください。

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