不当解雇の弁護士コラム

退職勧奨されたら、どのように対応すれば良い!? 弁護士が解説

2018年11月09日
  • 労働問題
  • 退職勧奨

退職勧奨されたら、どのように対応すれば良い!? 弁護士が解説

退職勧奨されたら、どうしたら良いのでしょうか?

たとえばある日突然、能力不足などを理由に退職するよう言われてしまったら、気が動転してしまうものです。このようなとき、退職を受け入れなければならないのでしょうか?

法的には、退職勧奨されても受け入れる必要はありませんし、勧奨が強制のレベルに達していたら会社側の行為が違法となる可能性があります。

今回は、退職勧奨されたらどのように対応すれば良いのか、弁護士が解説していきます。

1、退職勧奨とは?

  1. (1)そもそも退職勧奨とは何か

    会社で突然上司から「君、この仕事に向いていないんじゃないかね?」「他の会社に行った方が良いのでは?」などと言われることがあります。
    このように「退職した方が良いのでは?」と勧めることを「退職勧奨(たいしょくかんしょう)」と言います。

    退職勧奨は、あくまで「退職を勧めること」であって「退職の強制」ではありません。勧める以上の効果はないので、退職勧奨されても労働者が退職に応じなければ退職とはなりませんし、もちろん解雇も成立しません。そのままの労働契約関係が継続します。
    しかし、労働者が勧奨を受け入れて退職すると、雇用関係が終了します。

  2. (2)退職勧奨の事例

    これまで多くの会社で退職勧奨が行われてきています。
    たとえば最高裁昭和55年7月10日の判例では、下関商業高校の教師が強制に近い退職勧奨を受けたことが問題となり、学校側(下関市)に慰謝料の支払を命じる判決が出ています。

    東京高裁平成24年11月29日の裁判例では、日本航空の客室乗務員に対し、上司が「いつまでしがみつくつもりなのかな」「辞めていただくのが筋」「懲戒免職とかになったほうがいいんですか」などと言って強制的な退職勧奨を行ったことが問題となり、会社と上司にそれぞれ20万円の慰謝料の支払を命じる判決が出ています。

    このように、退職勧奨は大きな会社や学校などの場所でも広く行われているものですから、どのような方でもいつなんどき退職勧奨を受けるかわかりません。

  3. (3)退職勧奨する会社側のメリットとは?

    会社側はなぜ退職勧奨を行うのでしょうか? 経営者側の退職勧奨のメリットをみてみましょう。

    会社が従業員を辞めさせたいとき、まず考えられる方法は「解雇」です。
    しかし法律上、普通解雇するには解雇の合理性と相当性が必要で、非常に厳しい制限が課されます。不用意に解雇をしてしまうと、不当解雇となって無効になってしまうリスクが高くなります。

    これに対して社員の自主的な退職であれば、労働者側から後に「不当解雇」と主張されたり未払い賃金や慰謝料を請求されたりする心配もありません。

    このように退職勧奨は、企業側にとって「特段のリスクなく確実に労働者を辞めさせることができる」点で、大きなメリットがあります。

2、退職勧奨と解雇は違う!

退職勧奨と解雇を混同されている方もおられますが、この2つはまったく異なります。
以下で、その違いを説明します。

  1. (1)解雇とは?

    解雇とは、使用者側が労働者側に対して、一方的な意思表示により雇用契約を解消することです。

    会社勤めをしている場合、会社と従業員との間には「雇用契約(労働契約)」という契約関係が成立しています。その契約を、会社側が一方的に解消させるのが解雇です。解雇が有効な場合、労働者側が会社に残りたいと言っても残ることはできません。

    このように強い効力が発生するので、解雇はできるケースが非常に限定されています。

  2. (2)解雇の種類

    解雇には、以下の3種類があります。

    ①普通解雇
    普通解雇するには解雇に客観的合理的な理由があることと、社会的相当性が必要です。

    ②整理解雇
    整理解雇とは、いわゆるリストラのことです。
    整理解雇が認められるには、人員削減の必要性と解雇回避努力をしたこと、人員選定の合理性と適正な手続きという4つの要件が必要とされています。

    ③懲戒解雇
    懲戒解雇は、問題を起こした従業員を解雇することです。
    懲戒解雇するには就業規則に懲戒規程をおいておく必要がありますし、懲戒権の濫用とならないように相当な方法で行われることも要求されます。

    解雇の手順について
    会社は、従業員を解雇するときには、少なくとも30日前に解雇の予告をする必要があります。それに間に合わない場合には解雇予告手当を支払わねばなりません。
    その上で、上記の要件を満たしていれば解雇が有効になります。

  3. (3)解雇と退職勧奨の違い

    退職勧奨は、会社側が雇用契約を解消させるという一方的な意思表示ではなく、使用者側が労働者側に「退職してはどうですか?」と勧めるだけのものです。

    退職勧奨があっただけでは雇用契約は終了しません。これに対応して労働者側が「では退職します」と合意した場合に初めて雇用契約解消の効果が発生します。
    また退職勧奨には、解雇のように厳しい要件はありませんし、理由も不要です。会社が肩たたきをすれば、それだけで退職勧奨です。

    退職勧奨されたら「解雇されるのか?」と焦ってしまう方もいますが、単に退職を勧められているだけなのですから、必ずしも恐れる必要はありません。
    「いいえ、退職はしません」と言って退職を断ればそれだけで済みます。退職勧奨を断ったことを理由に解雇されることもありません。

  4. (4)退職勧奨が違法になるケース

    退職勧奨されたら、それが違法になるケースがあることを知っておきましょう。
    それは「退職強要」になっているケースなど、退職勧奨が社会的に相当な範囲を逸脱した場合です。

    たとえば暴行や脅迫によって無理やり退職届を書かせた場合、執拗な嫌がらせをした場合、数人で取り囲んで退職を断れないようにした場合などが挙げられます。
    そのような場合には、いったん退職届を書いても無効にすることができる可能性がありますし、慰謝料請求(損害賠償請求)が認められる可能性もあります。

3、退職勧奨されたらどうする? 対応方法や証拠について

退職勧奨されたら、以下のような方法で対応しましょう。

  1. (1)会社を辞めても良い場合の対応方法

    退職勧奨を受けたとき、もしも会社を辞めても良いと考えているのであれば、会社側に退職の条件を聞いてみましょう。
    いつまで働くのか、引き継ぎがどうなるのかなどもありますが、やはり重要なのは退職金です。退職勧奨に応じて自ら退職するのであれば、通常より多くの退職金支給を要求すると良いでしょう。

    また自己都合退職となるのか会社都合退職となるのかも確認すべきです。労働者側としては、失業保険の関係で会社都合退職となった方が圧倒的に得になるので(3ヶ月早く受給開始できます)、会社都合退職扱いにしてくれるよう要求すべきです。
    退職勧奨をされたら退職の条件面を話し合い、合意できたら退職届と退職に関する合意書を作成して退職すると良いでしょう。

  2. (2)会社を辞めたくない場合の対応方法

    退職勧奨をされたとき、会社を辞めたくないのであれば、退職勧奨を「ひたすら断る」だけで良いです。
    退職勧奨は「強制」ではありませんし、退職強要になったら違法です。そこで退職勧奨をされても断れば、会社は解雇理由がない限りそれ以上に何もできません。

    ここで問題になりやすいのは、退職勧奨されたら弱気になって「はい」「わかりました」などと言ってしまったり、反対に腹を立てて「辞めてやる!」などと言い返したりする方がいることです。そうなると「辞めてほしい」と考えている会社側の思うつぼとなりますので、絶対にしてはいけません。

    また会社側から「書面へのサイン」を求められたときには、応じるべきではありません。退職届や退職を受け入れる内容の書類になっている可能性があるからです。
    対応に迷ったときにはすぐに弁護士に相談してみてください。

  3. (3)退職勧奨されたら証拠を集める

    もしも職場で退職勧奨されたら、その証拠を集めておくべきです。将来退職勧奨が違法と主張する場合にも会社都合退職であることを証明するためにも、証拠は役に立ちます。
    以下のようなものを集めましょう。

    会社から渡された書類、メモ
    会社側から退職勧奨されたときに書類やメモなどを渡されたらとっておきましょう。

    会社とのやり取りのメール
    退職を巡ってメールでやり取りをしたら、その送受信メールを残しましょう。

    面談の際の録音記録
    退職勧奨されたら、会社と労働者側が話合いを行うことが多いです。その際ICレコーダーなどでやり取りを録音するようにしましょう。

    日記や手帳
    退職勧奨されたら、その後自分の日記や手帳に日々のやり取りなどについて記録を残しましょう。

    就業規則
    会社の就業規則の写しをとっておきましょう。

    退職金規程
    退職金規程が就業規則と別になっている場合、そちらの資料も入手しておくべきです。

    雇用契約書、雇用条件通知書
    退職勧奨されたら、雇用されたときの雇用契約書や雇用条件通知書を探して手元に用意しましょう。

4、退職勧奨されたら弁護士に依頼すべき5つの理由

退職勧奨をされたら、弁護士に依頼すると、以下のようにいろいろなメリットがあります。

  1. (1)不当な退職勧奨になるのか、法的に判断できる

    退職勧奨されたら、それが合法的なものか違法な退職強要か、判断する必要があります。
    素人の場合、正確な線引きが困難ですが、弁護士であれば、会社の言い分が正しいのか間違っているのか判断できます。

  2. (2)証拠の集め方をアドバイス

    退職勧奨されたら、証拠を保全しておくことが重要です。自分ではどのようなものを集めて良いかわからない場合でも、弁護士に相談したら効果的な証拠の集め方を聞くことができます。

  3. (3)会社が退職勧奨をやめる可能性がある

    労働者が個人で「退職勧奨が違法」と主張しても、会社がまともに取り合わないことがあります。弁護士が対応すると会社も真剣に対応せざるを得ませんし、弁護士が出てきたことによって退職勧奨がぴたっとやんで行われなくなるケースもあります。

  4. (4)有利に交渉を進められる

    弁護士が交渉に臨むと、本人が対応するよりも有利に進められます。会社を辞めるとしても、解決金が高額になる可能性が高まります。
    また弁護士が窓口になるので労働者本人が直接会社と話し合う必要がなく、精神的にも楽>になります。

  5. (5)労働審判、労働訴訟をサポート

    退職強要されたらまずは会社側と話し合いをしますが、交渉によっては解決できない場合、裁判所で労働審判や労働訴訟をするしかありません。

    労働事件の法的な手続きを進めるときには、個人が一人で取り組むのは難しく、法的手続きに長(た)けた弁護士が対応することにより、有利な結果につながります。
    退職勧奨の事例では、損害賠償金や解決金の支払いを受けられるケースも多々ありますが、弁護士に依頼すると、裁判所での法的な主張や立証を適切にすることができ、結果的に多くの賠償金を払ってもらえる可能性が高まります。
    退職勧奨されたら、良い条件で労働トラブル解決を目指すため、まずはお気軽にご相談ください。

5、まとめ

退職勧奨をされたら、まずは気持ちを落ち着けて冷静になりましょう。どれほど威圧的な態度で言われたとしても、退職勧奨に法的な強制力はありません。
会社側は、あくまで「退職してもらえませんか」とお願いしている立場に過ぎません。あせったり感情的になったり腹を立てたりする必要はなく、退職に納得できなければ、応じる必要は一切ありません。

退職勧奨への対処に困られているならば、一度お早めに弁護士までご相談ください。

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